ノンフィクション本メモ
ノンフィクション本を読んで・・・メモ
２０１４年 年末に読んだ本がある
「病み上がりの夜空に」矢幡洋
この人の本は何冊か読んで ちとどーなのよ！？
あまり、そうだよねーとは言えない、好きではないと思っていた
が・・・帯に 「離人症だった妻、自閉症の娘」ノンフィクション
その前に出した自閉症の娘さんの本が話題になっているのは知っていた
何故 この本を買ってみようと思ったのかは
取り巻く環境の原風景を知ることで
何が・・・彼を創っているのか・・・という断片を垣間見るコトで
私が好きではない部分が見えてくるかもしれない・・・
ある意味この本の主旨からは、ずれる動機だ
なるほどＷｅｂ本棚やレビューなどを見れば
自閉症の子を育てるということが健常者の子供を育てるのとは
まったく違う、当事者ならではの壮絶な闘い・・・が描かれている
知らなかったのは妻も同じ心理職で一時は夫婦でカウンセリングルームをしていたというコト
妻は誰から見ても・・・虐待を受けている
そして結婚して出産した後ほとんど寝たきり
家事や育児 お金を稼ぐ さらには妻への対応カウンセリング
泣きやまない赤ちゃんをずっとおんぶして
ＰＣに向かう時間もないからＩＣレコーダーに声を吹き込む
切り売りしても 借金しても今日食べるお金を稼がないと家族３人死んでしまう
普通なら・・・言葉として “ふつう”と言ったけど
根をあげる 限界に近いだろう、日常が既に破たんしている
構成が虐待を受けた妻の章と僕（矢幡氏）の章と交互に綴られていて・・・
この本を読んで・・・初めて
漠然と私が思っていた括りではないんだ、ということを知った
死ぬような目に遭った人と
親から愛されていない、嫌われるコト＝精神的な死
流行りの言葉で言えばＡＣ・・・とは違うと思っていたけど そういう区分ではない
どんなにひどい虐待を受けていても 求める人は求めているんだ・・・というより
最初が・・・根本的な思考回路が 違うと知ったコト
＋＋＋
自分が犠牲になれば、この家は平和になる
五歳の時にこの家を普通の家にすると決心してから六年、初めて家族げんかを
起こさなかったのだ！こういうことがこの家の人たちを穏やかにさせるのなら、
おばあちゃんの奴隷になることではなく、最初から学校でいい成績をとる方向を
選べば良かったのだ
＋＋＋
それはもともと持っている気質や性格、考え方に由来するコトも
大きいのかもしれない
以前、タバちゃん（つうか視えているりさちゃん）に言われた言葉が蘇った
ーまったく同じ経験をしても、ひどくならない人はいて
どちらかと言うと男性的なタイプは強いしダメージが少ない
（私のように）・・・そうならイイナと思う 私も少しはそうなりたいー
へ？と聞いた
もちろん 私が経験したものは
彼女とは比べものにならないだろうと思っていたから
そりゃ全然違うでしょーと・・・。
そう思っていた私に
ー（なにがあったか）視えてるから・・・だから うらやましかったりするー
・・・と
その時は意味が分からなかった
けど・・・この本を読んで分かった気がした
僕と妻のやり取りの方に引き寄せられてしまった
＋＋＋
奈緒（妻）が言う
ー私は今の人生に夢も希望もないの。こんなはずじゃなかったと思うだけ
幸せな夢を見ていたの
ごくつつましい家庭を築きたいと思っていたの。
たいていの家庭は出来ているってことでしょう？でもとても望めないわよね。
私は、人生に夢も希望も残っていない
私たちの老後はどうなるの？生活保護なの？ホームレスなの？
こんなに貧乏で、こんなに先が見えない生活になるなんて、思ってもいなかった・・・
ーああ、分かるよ、君の不安は。
（中略）
だけど、嘆けば事態が変わるのかい？泣けばいいことが起こるのかい？
ー子育てってもっと楽しいものだろうって期待したの
（中略）
私には悪い将来しか考えることができないの。毎日思い悩むのが、苦しいの。
こんなに苦しむのなら、あなたと結婚したのがそもそもの間違いだったと思う
＋＋＋
・・・から始まって
取り巻く環境 育ってきた原家族
何が・・・彼を創っているのか・・・どんな考えで・・・
違った・・・
私が好きではない部分が見えてくるかもしれない・・・
・・・とんでもなかった
ほとんど私・・・と同じ類の人種・・・だ
つまり・・・タバちゃんが言ってたことってこういうことか！
物事の捉え方・・・見方・・・私も考えてもどうしようもないことは
考えないし こうあるべきとか これが普通とかない
＋＋＋
ー私。学生時代に、周りが遊んでいても、み向きのせずに勉強してきた・・・
あの努力って一体何だったの？人並みの人生すら手に入らないなら、あんなにがんばる必要なんて
なかった。自分の努力って全部が無駄だったんだって、人生すべてを否定したくなってくる
ー君は、努力すればそれに見合った成果が返ってくると思っていたの？
僕は驚いた。奈緒（妻）は僕が驚いた顔をしたことに驚いていた。
ーそういう感覚は、俺には全然ないな。多分、俺もかなりの努力家の部類に属すると思う。
でも、『こんなに努力したんだから』って感覚がまるでないんだよ。
何の成果が返ってこなくても『ああ、最初からこうなる運命だったんだな』と思うだけで、
あまり失望しないんだ。力を入れた本が売れなくたって『ふうん』って程度にしか思わない
ー私にはパパの感じ方がわからない。私は我慢するだけすれば後でいいことがあるって、
（中略）
ー俺は宿命論者なんだ。特別な信仰はないけれど、
全てが運命にとってあらかじめ決められているという感覚の中で生きているよ。
神は信じないが、運命は信じる
君の人生観の方がずっと健全だな。高く目標を立てる、それに向かって努力する、
そうすればきっと夢は叶う・・・そういう前提があるからこそ、望みが叶わなかったときの
傷つき方が大きいんだろうね。
俺とは全く異質だけど君はそうなんだろうなぁという程度の理解は出来るよ
俺にとっての人生とは、最初から担ぐべきバーベルを神様が俺の前に用意して、
一つのベーベルを担ぎ終えれば、
次のバーベルが待っていて、いつか力尽きたときにばったりと倒れて終わりってだけのものだよ。
だから俺は、何かの目的を達成するために生まれてきたのでもなければ、
幸福になるために生まれてきたのでもないよ
運命という名前のバーベルを持ち上げるだけさ
ーそれ、わかんない。全てのことが運命なら、ただ受け身に諦めていればいいだけでしょう？
（中略）
ー俺は、バーベルに押しつぶされないまいとしているだけなんだ・・・それしかすることがないから
神は、俺にこう言われたのさ
これがお前が担ぐためのバーベルだ。
お前に命じることはただ一つだ
ー抗え。
つまり、『じたばたしろ』ってことだ。だから俺はじたばたしている。
ただそれだけのことだよ
俺は『次はどんなバーベルがあるんだろう』と思うだけで、ハッピーを期待していないんだよ。
だからこそ、アンハッピーがあっても、それまで通りだ。
『ああ神様、これが僕が次に背負うべきバーベルなんですね』と思うだけさ。
改めて落ち込んだりしない
ーなんだか、運命論的に聞こえるけど。ただ宿命を果たすだけの人生に生きる価値があるの？
ーかろうじて持ち上げられるぐらいの重いバーベルを持ち上げているとき、
自分の筋肉が張り詰めて、足が踏ん張っているという実感を感じる。
自分が機能しているという確かな感覚だけが、俺にとっては人生の報酬だよ
ー私にも、同じように思えって言うの？
ーいやいや、俺の人生観は陰鬱すぎるよ。とても、誰にもお勧めする気にはなれないね。
そもそも、正しい人生観なんて、あるのかね
＋＋＋
いつもの夜の時間がやってきた
ー私は喪失感で一杯なの
ーそれが、僕にはないんだ。何かが自分の人生から失われても、その次の瞬間には
『それじゃ、次の一手はどうしようか』って考えてる。
なくなったのものを惜しむ気持ちがあんまり湧かないんだ。
それよりも状況をよりよくするための方策を考える方が面白くってね
エリ（娘）の障害だって、俺は人生の不幸だという感覚があまりないんだ。
ただの、現実だよ。目の前にある、自分の人生だよ。今更、嘆く気持ちはないんだ。
・・・・・・本当のことを言おうか。
俺は、こんな人生に、スリルを感じているんだ。
先行きのわからない、一本の縄の上を歩いていくような人生にね。
何が起ころうと、もう一人の自分が、わくわくしながら俺を見物しているんだよ。
さあ、こいつは、次はどんな手を打つんだろうってね
そうでないと、生きている気がしないから。目的がない。だから僕はその刹那刹那の刺激に飢えている
ー私は、綱渡りみたいな人生は、いや。心配ことのない、安定がほしい
＋＋＋
「共に生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」
つまり みんなが安心、繋がっている世界
脳の機能上、仲間の役に立つ、人や社会に貢献するということが脳への大きな報酬となる
それがないと脳本来の力を削ぐとも言われている
で・・・そーいうのに嬉しさを感じないブルーの世界に居る人の脳はどうなっちゃうの？？？
とか思っていたのだけど
この本を読んでいて・・・夫婦の対比で気づいたことが沢山ある
矢幡氏の発想・・・
私は宿命論者ではないけど 物事の捉え方が一緒で
奈緒さんのような発想がまったくない
改めて あーそういう感じなの？
・・・ああ・・・不幸になるのか・・・
だけど スリルを求めクリアするというのは・・・報酬系だよな
＋＋＋
